Future Stack 15 (New Relic カンファレンス) 1日目レポート
Tweet2015年11月12日-13日の 2 日間に渡り、サンフランシスコのフェアモントホテルで開催された New Relic 社主催の New Relic ユーザーカンファレンス Future Stack 15 に弊社の k2nr と参加してきました。参加者は、1,000 人以上とのことでした。この記事では、第 1 日目の内容をかいつまんでレポートしています。
Keynote & Welcome
最初は、New Relic CEO Lew Cirne から挨拶および現状の説明がありました。
アプリケーションのパフォーマンスだけでなく、New Relic が如何に開発、運用しているアプリがビジネス的に成功するように手助けできるかに焦点を当てて、開発、サポートを行っているかを強調していました。
大分要約していますが、次のようなことを言っていました。 “New Relic には、独自に構築したマルチテナントのクラウドデータベースである NRDB があります。これは、マルチテナントで、費用対効果が高く、SaaS です。これは、New Relic の全製品に跨って導入しており、それを New Relic では、Analytics Everywhere と呼んでいるのです。NRDB のデータは、NRQL を利用して取り出すことができます。誰もが、Insights でそれを使えるようにしたのが、ビジュアル Data Explorer だ。これは、ゲームチェンジャーになるだろう。なぜなら、クリックするだけで、リアルタイムに欲しいデータやインサイトを得ることができる、クエリをリアルタイムに作成できるのですから。”
今後の方針としては、Insights を New Relic の中軸として展開してくようです。つまり、あらゆるデータをユーザーが自分の用途にあった内容および形式で、簡単に素早く作成できるビューを提供することが、New Relic の強みになっていくとのことでした。
Insights について
New Relic Insights は、日本ではあまり紹介されている記事をみないので、簡単に説明します。そもそも New Relic は、APM が有名ですが、それ以外にも、Browser/Servers/Mobile/Synthetics/Insights といった製品があります。その中でも、去年発表された Insights は、APM や Browser で収集したデータを NRQL という SQL ライクな独自言語で簡単に見た目よいグラフや表を表示できる機能です。競合としては、MixPanel などでしょうか。
新機能の紹介
Keynote では、新機能の発表が多くありました。その中からいくつか気になったものをピックアップします。
Data Explorer : Insights
今回の発表で、一番すげー便利と思った機能がこれ。今までは、Insights で見たいデータを表示する NRQL は補完があるとはいえ、手動でつくらなければならなかったんだけど、これは必要なデータが全部画面にでてくるので、欲しいデータだけ、クリックして選んでいくだけで、NRQL が作れるしろもの。この機能は、既に使えるようになっている(既存の Data Explorer にアクセスするだけ)ので、Insights を使っている人は、是非、試して欲しい。
詳しくは、「Introducing Insights Visual Data Explorer: Now Everyone Can Ask Questions of Insights」 に詳しく書いてありますので、興味ある方はご覧ください。
8 日間の利用可能なイベントデータ : Insights
最初にも言っていたように、これからは、New Relic の各製品で収集したデータも Insights で利用できるようになっていきます。このデータは直近 8 日間分のイベントデータが利用できるようです。(おそくらく APM は除くですが)。これにより、Insights を通して、アプリケーションのパフォーマンスやユーザーエクスペリエンスなど横断的にデータを閲覧、検証できるため、よりよいビジネス上の決定がしやすくなるとのことです。この機能は、12月1日より利用可能になるようです。
Error Analytics : APM
今、APM の 右メニュー EVENTS の下に Errors というエラーリストや発生率を表示する画面がありますが、それがもっと強化されます。フィルター機能が追加されるため、条件を追加していくことで、ピンポイントでエラーとなっている条件を絞り込んでいくことができるようになります。この機能は、現在、Private Beta になっています。
詳しくは、「New Relic APM Adds Advanced Error Analytics」 に詳しく書いてありますので、興味ある方はご覧ください。
非同期フレームワークのサポート : APM
また、Java エージェントでは、Play 2.4 や Akka 等の非同期フレームワークをサポートするそうです。詳しくは、Asynchronous Framework Support をご覧ください。
Geo Analytics : Browser
Geo 機能(どこの国からのアクセスが多いかとか)は、今もあるけど、シンプルなデータしかみれません。これにフィルター機能が追加されて、ブラウザや地域、ISP など条件を追加していくことで、ピンポイントにアクセスしているユーザーの情報を絞り込むことができます。これによって、あるページが遅かった際に、それが全体の問題なのか、特定の箇所(地域、ISPなど)の問題なのかといったことを素早く把握できます。こちらも、現在、Private Beta の状態です。
詳しくは、「Curated Geo Analytics and New PageView Events Added to New Relic Insights」 に詳しく書いてありますので、興味ある方はご覧ください。
Version Trends: Mobile
Mobile アプリのバージョンごとのトレンド(新規インストール、更新、エラーレートなどを各バージョン)情報を 1 つの画面で比較できる機能です。これによって、どのバージョンでユーザー満足度が高い(エラーが少ない、新規インストールが多い)のか把握するのに役立ちます。また、時間軸を変更できるため、インストールされてから、1週間、1ヶ月といった単位でトレンドを把握することできます。
詳しくは、「New Relic’s Mobile Version Trends Report Offers a Report Card on Your Apps Over Time」 に詳しく書いてありますので、興味ある方はご覧ください。
その他
その他にも、API 関係でいくつか発表があり、これは、Plugin を作っている人には関係してくるかもしれません。
Synthetics も、Insights でデータを利用できるようになったり、Pirvate Locations という機能も追加されているそうです。詳しくは、「New Relic Synthetics Now Comes With Data Explorer, Private Locations, and More」 に詳しく書いてありますので、興味ある方はご覧ください。
また、まだ開発段階らしいですが、APM と Browser のデータのライブビューが追加されるようです。これにより、リアルタイムで、ユーザーやパフォーマンスの動向をチェックできるようになるようです。
Opsmatic
また、先日(11月5日)New Relic による買収が発表された、Opsmatic (インフラのインサイト)のエンジニアが登場し、製品のデモを行いました。これは、APM と Servers の間のような位置づけの製品になりそうです。今後、New Relic とはどのように連携するのかは、特に話しがなかったので、どうなるのかは気になるところ。
参考リンク
New Relic のブログで詳細に記事になっていますので、興味がある場合は観てみてください。
- FutureStack15 Keynote: Analytics Everywhere and 20 More Awesome Insights
- New Relic Brings the Power of Analytics to All Our Products
- New Relic Embeds Analytics Across Product Line for the Modern Enterprise
- New Relic Announces New Cloud Platform Capabilities to Deliver Performance Data and Efficiency to Software Teams
Keynote の後は、各 4 つのトラック( Create, Architecture, New Relic, Hacker Lounge )に別れて、並行でセッションが行われる形式でした。
「Building a System that Never Stops: New Relic at Scale」という New Relic のメンバーによる発表では、如何にして New Relic をスケールさせてきたのかを Browser をベースに発表されていました。Browser では、ずっと同期処理やってきたが、あるときパフォーマンスの負荷を裁けなくなってきたので、Apache Kafka (分散メッセージサービス)を導入したそうです。また、New Relic は現在、毎分、
- 1600万以上のリクエスト
- 200万以上のイベントデータ
- 6億以上のメトリクスの集約
- 30億以上のデータポイントからのクエリ
そして、以下の状態で開発が進んでいるそうです。
- 200以上のサービス
- 2.5ペタバイトのSSD
- 25人以上の開発、運用チーム
その他にも、Time.Inc や News Corp、Rackspace の CTO なども登場し、それぞれの話をされていました。
また、会場の様子は New Relic のイベントギャラリー でも雰囲気をみることができるます。
2日目は、特別ゲストで Keynote にスティーブ・ウォズニアックが登場しました。 2日目の様子は、近日中にアップする予定です。